2018.12.06 07:05空港に向かうタクシー約9ヶ月半前アルゼンチンについた僕は、空港から街へ向かうタクシーの車内で、運転手の言っていることが何一つ理解できなかった。今日、街から空港に向かうタクシーの車内で、僕は運転手とみっちりお話をした。「成長とは、空港で感じるものである」と言ったのは、あのかの有名な、僕だ。同じ空港でも、来るたびに違う景色を見る。それは日本の空港も、世界各地の空港も、アルゼンチンも同じだった。同じなのに、違うのだ。またな...
2018.11.07 02:061ヶ月後には…12月6日、この国を出ることになった。2月23日、アルゼンチンに到着してから今日まで、いったい何が起こったのかわからない。良い一年だったとも言えるし、苦労した一年だったとも言えるし、不思議な一年だったとも言える。とにかく一瞬に時は過ぎ去り、気づけばもう11月に入っている。これまでの経験でいくと、久しぶりに日本に帰っても、おそらく「あっけないなあ」と感じると思う。これほど長く、そして遠く日本を離れた...
2018.09.06 18:56動物園にライフル銃は必要ない男が僕に向かって走ってくる。朝8時。僕は大学で行われるスペイン語の授業に向かっていた。僕に向かって走ってくるその男は、ブツブツ文句を言いながら時々後ろを振り返る。しばらくすると、警官の乗った車が徐行をしながら近づいてくる。男が僕の真横を通り過ぎてすぐ、2人の警官が車から降りてきた。警官の手には、まるで偽物のような、大きなライフル銃が握られていた。僕は少し嫌な予感がして、その場から駆け足で離れた。僕...
2018.08.21 21:14半年間あと数日で、アルゼンチンに来て半年間が過ぎようとしている。びっくりするくらいあっという間だった上に、今もなお、ものすごいスピードで1日が過ぎ去っていく。思い出すこともできないほどに、いろんなことが起きて、一つ一つの出来事には奇跡の要素や、必然の要素がそれぞれ満遍なく詰まっている。生きていてよかったなと思ったこともあったし、なぜアルゼンチンに来てしまったんだろうと思うこともあった。ただ、これは僕のい...
2018.07.18 21:50子供よ、もっと騒げ。アルゼンチンは、2週間ほどのバケーションに入った。国全体が同じ期間に「冬休み」に入るから、日本とは少し違う雰囲気がある。僕にとっては、こっちで迎える初めての中期休暇だ。街全体が機能停止する…と思っていたけど、意外に都心から離れた僕の田舎町も、中心街はいつも以上に賑わっている。昔はもっと町から人が消えたという。この不景気の影響(今アルゼンチンはとんでもない不景気)で、旅行にいける家族が減っているのか...
2018.06.30 22:13終末アルゼンチンのW杯が今日、終わりを迎えた。協会のマネジメント問題や、偉大すぎたメッシの存在、監督の混迷、そして国民からの重圧。それら全てを背負い戦った彼らは、とてつもない疲弊とともに大会を後にした。彼らは、散るべくして散ったのかもしれない。最後の最後まで、チームとして整備されている様子は1度も目にすることが出来なかった。ただ、言葉に出来ない何かを感じたことは確かだ。僕らの国民には持っていない何かを...
2018.06.13 17:39僕らが母国に失望しようともW杯が開幕する。初めて海外でW杯を迎えることもあって、今回は特別な感情を持っている。それだけじゃない。日本代表が2ヶ月前に監督を変えたことによって、日本サッカーに対する憤りからきていたエネルギーは、失望に変わってしまった。5年前を思い出す。ブラジルW杯出場が決まった時、僕は確か新潟にいて、学校の帰りに車のカーナビでその様子に釘付けになっていた。オーストラリア戦。本田圭佑がPKを決めた瞬間、僕は一人...
2018.06.11 17:01人間は人間に影響されるのか人生で初めて、他人と共同生活をしている。今までは実家か、もしくは一人暮らししかしてこず、当時の彼女と半同棲だったくらいで、誰かと同じ空間で暮らすという経験をしてこなかった。手こずっている。非常に。僕の住むペンションには、アルゼンチン人多数と、その他少数の外国人が住んでいて、基本的には全てのものが共有だ。住み始めて3ヶ月、ここに来て問題が多発している。僕が耐えられなくなったと言うより、周りの奴らがこ...
2018.05.13 03:30「寂しい」ということ僕の住むペンションには、パラグアイ人がいる。彼の名はネルソン。ワイルドな見た目とは相反して、内気で、綺麗好きで、めちゃめちゃ料理がうまい。南米人は全員テンションが高い、という偏見を一番最初に崩してくれたのが彼だった。彼女が来るという。ネルソンは、携帯の待ち受けも、パソコンのホーム画面も彼女の写真で、僕が「彼女?」といじると、いつも照れ臭そうに笑ってくれる。そんなネルソンの彼女が、はるばるパラグアイ...
2018.04.06 12:37マリファナの香るバスに乗って指定された場所は、売店が目の前にあるだけのなんの変哲もないただの道だった。既に赤と白のユニフォームを身にまとったアルゼンチン人が、ビール瓶片手に宴を始めている。僕の街のクラブ「Estudiantes de La Plata」と、ブラジルの名門「Santos Futebol Clube」が対戦すると聞いた時には、どんなことがあろうと絶対に観に行こうと決めていた。サントスFCといえば、サッカーの神様ペ...
2018.04.01 04:16日本から来た変なヤツを普通の料金で入れてやった変なヤツスタジアムまでの道中や、入り口から席に座るまでの過程で"緊張感"を感じるか、感じないか。正体不明の「何か」によって感じられる恐怖は、スタジアムでのサッカー観戦をより豊かなものにしてくれる、というのは色んな国でサッカーを見てきた僕の持論である。今日の試合は、僕の持論を裏付けた。喧嘩を成敗している警察を横目にスタジアムまでの道なりを歩いていると、これまでのアルゼンチンでの試合観戦の中で最も強い緊張感を...