僕らが母国に失望しようとも

W杯が開幕する。


初めて海外でW杯を迎えることもあって、今回は特別な感情を持っている。それだけじゃない。日本代表が2ヶ月前に監督を変えたことによって、日本サッカーに対する憤りからきていたエネルギーは、失望に変わってしまった。


5年前を思い出す。

ブラジルW杯出場が決まった時、僕は確か新潟にいて、学校の帰りに車のカーナビでその様子に釘付けになっていた。オーストラリア戦。本田圭佑がPKを決めた瞬間、僕は一人車の中で熱狂した。


それから5年。


日本代表はエネルギーを失い、僕のヒーローだった本田圭佑は、どこか安っぽくなってしまった。


今回のW杯、日本代表の試合を見て全力で熱狂できるかと言われれば、それはわからない。

僕は日本サッカーをどうにかしたくてアルゼンチンに来て、そのためにサッカーを学んでいると言っても過言ではない。僕は本当に、自分がただ成り上がりたいという感情よりも、日本サッカーを変えたいという気持ちの方が強い。


「そんなの嘘だ」


そう言われようが、僕にとってはどうでもいいことだ。

僕をアルゼンチンに向かわせたエネルギーがそれだったことは、間違いのない事実だから。

だからこそ、今の日本には失望を隠せない。


昨今の日本を外から見ていると、僕はなんのためにアルゼンチンに来たのだと、勝手に、自分を見失いそうになることもある。勝手に。


アルゼンチン人を見ていると、心底羨ましくなる時がある。皆、アルゼンチン代表に対して、全力をかけている。批判的な意見もそれが故の行動で、日本の批判とは温度が違う。


僕もまた小さな子供の頃のように、日本代表の試合に熱狂することはできるだろうか。

母国のサッカーに誇りを持てる日は来るだろうか。僕は、母国に誇りを持ちたい。


日本サッカーを、外からではなく、内から熱狂したい。子供の時とは違う場所で。


W杯は明日開幕する。

僕らが母国に失望しようとも。


闘えよ、日本。



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