Phnom Penh, Cambodia
カンボジアとは一体どんな場所なのか。私は何も知らない。
こんなところにサッカーの文化が存在しているのかどうかは、もっと知らなかった。私はカンボジアに滞在していた数日間で、それついての偏見を全て覆されることになる。
街のグラウンド
そこには確かに、サッカーがあった。街の一角に佇むグランドは、熱気に満ちている。それが気温のせいなのか、それともここでサッカーをプレーする人々の熱気なのかはわからない。
小さな子供から、太ったおじさん、そして美人な女性までもが同じグランドでサッカーを楽しむ光景は、僕の偏見を覆すのには充分だった。
彼らは皆、サッカーを好きでやっているに違いない。コーチも、うるさい親も、誰もいないこのグランドでサッカーをすることが、好きなのだ。コーチに指図される彼らは想像できないが、それはそれはつまらなそうな顔をするんだろう。
彼はゴールキーパーだそうだ。「どうしてキーパーなの?」と聞いたら「楽だから」と答えた彼に、お前、ゴールキーパーなめるなよ。とは言わなかった。
ここで日々サッカーを楽しむ子供達が、いつか日本人と試合をする日が来るのかもしれない。その時までに、キーパーへのバックパスは手で触ったらいけないのだと、教えてあげないと。
スタジアムが
たくさんある。バイクで数十分の範囲内にいくつものスタジアムが存在していた
。オリンピックスタジアムと呼ばれるこのスタジアムは、オリンピックとは縁もゆかりもない。
とてつもなく大きなこのスタジアムには、サッカー協会が併設しているらしいけど、どこだ。客席に椅子が設置されているのはメインスタンドだけで、あとはコンクリート。それが私には新鮮で、美しさを感じさせた。日本代表も、カンボジア代表との試合でここを訪れている。
通称アーミースタジアム。その名の通り、軍のチームが所有するスタジアムだ。スタジアムと言っても、客席はごくごく少数で、グランドも剥げまくっている。グランドキーパーが水をまいていたけど、多分、まいているだけだった。日本人も所属しているらしい。私が写真を撮っていると、子供達の叫び声が聞こえ、気付いたら目の前に3人の子供がいた。可愛らしい子供達は、写真の被写体になることを希望しているようだ。
彼らもまた、もう少ししたらサッカーを始めるのだろうか。
カンボジアの名門チームが所有するスタジアムは、サッカー専用だ。スタジアムの裏にはトレーニンググランドも設置され、環境は申し分ない。欧米人も何人か所属していて、話を聞こうと思って声をかけた欧米人は、選手ではなく、監督だった。カンボジアにも欧米人の指導者がいることに、驚いた。
いつか
この国にも、アジアで強豪になる時が来るかもしれないし、来ないかもしれない。サッカーの運命は、神様だって知りやしない。日本や、その他アジア諸国のサッカー後進国は、どれだけの情熱を持って、国を挙げて強化していくかにかかっている。
でもきっと、彼らまだ、そんなことまで考えていないだろう。とにかく今は、サッカーを楽しむ。そんな風に、僕の目には映った。
カンボジアには、確かにサッカーが存在していた。
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