最後の夜をまえにして

夜に眠れない…という経験をしたのは、アルゼンチンに来てからが、生まれて初めてだったことを思い出した。「どこでもいつでも寝れるのが特技」と思っていたくらいの自分は、夜にベッドに入っても寝れなくて困る、という出来事が自分に起こるとは思っていなかったけど、考えてみてたら、こっちに来てからすやすや気持ちよく眠れた夜は、あまりなかったのかもしれないなと、昨日の夜、なぜか全然寝れない間に考えた。

単純にベッドが硬かったり、枕が合わなかったり、ルームメイトがうるさかったり、そういう原因で寝れなかったのかもしれないけれど、それだけではなかったなと思う。何かを考えすぎてしまったり、何かが怖かったり、あまりに嬉しかったり、そういうことがたくさん起きた。遠足の前日だってすやすや眠れた自分だったけれど、大人になると、人生はもっと複雑になるのかもしえれない。そういうことを考えるのも、いつも夜だった。

思いが詰まっているこの部屋で寝るのも、あと一回。

酒を飲んで眠りに入るのも、物思いにふけながら寝るのも、好きな映画を観てから寝るのも、どれもいいきがする。自分しかわからない、切なさと哀愁があって、いい。


最後の夜は、いちばんの友達と過ごす。正直、どうやって気持ちを伝えたらいいのか、わからない。ありがとうも、本当にありがとうも、ハグも、ハイタッチも、全て使ってしまったから、これ以上、どうすれば彼に感謝の気持ちを伝えるのが良いのか、わからない。確か1年目だったか、彼に感謝を伝えたいのにスペイン語の語彙力が伴っていなくて、あまり気持ちが伝えられなかった時、後悔というか、自分の情けなさに眠れなくなった夜も、あった。

アルゼンチンで迎える、最後の夜。

僕はまた、眠れない夜を過ごすのだろうか。部屋から出て、テラスに行き、水を飲むのだろうか。電気をつけて、日記を書いて、本を読んで、そのうちに眠っていくのだろか。


せめて、後悔で眠れないようなことにはなってしまうなと、そう思っている。涙とかが出てきてくれると、いいんだけど。


最後の夜だ。最初の夜とは、大違い。


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